悪意の受益者に関しての判例
過払い金返還請求は法律上は不当利得返還請求となります。
民法703条(不当利得の返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼしたもの(以下この章において「受益者」という)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
法律上の原因なく(貸金業法43条のみなし弁済が認められない場合は、利息制限法を超える利息を取る法律上の原因がない)、取り過ぎた利息は返還すべきということで、過払い金返還を請求するという事です。
※みなし弁済の要件については、みなし弁済判例を参照して下さい。
悪意の受益者とは
民法704条(悪意の受益者の返還義務等)
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。
悪意とは、知っていたという意味です。みなし弁済が認められないという事を知ってたんじゃないんですか、反論できないなら知っていたという事になりますよ(反論できなければ、知っていたと推定されてしまう)という事です。
悪意の受益者と推定されれば、5%(民事法定利率)の利息を付して返しなさいという事になります。
5%といえども、取引が長い場合、5%利息をつけた計算とつけない計算では、過払い金の取戻額が100万円以上変わることもしばしばあります。
最二判平成19年7月13日民集第61巻5号1980頁
1 貸金業者が返済方式を元利均等方式とする貸付けをするに際し,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に当たるものとして借用証書の写し を借主に交付した場合において,(1)当該借用証書写しの「各回の支払金額」欄に,一定額の元利金の記載と共に「別紙償還表記載のとおりとします。」との 記載があり,償還表は借用証書写しと併せて一体の書面をなすものとされ,各回の返済金額はそれによって明らかにすることとされていること,(2)「各回の 支払金額」欄に元利金として記載されている一定額と償還表に記載された最終回の返済金額が一致していないことなど判示の事実関係の下では,償還表の交付が なければ,同項の要求する各回の「返済金額」の記載がある書面の交付があったとはいえない。
2 貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。
平成20年(受)第1728号最二判平成21年7月10日
期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決以前に貸金業者が同特約の下で制限超過部分を受領したことのみを理由に,当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。
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ちょっとびびりましたが、期限の利益喪失約款(返済が滞ったら一括で返せという約束)があるというだけでは、悪意の受益者とは推定されない、というだけで、みなし弁済が認められない事を丁寧に主張すれば過払い利息5%が認められないという事は、なさそうです。
最二判平成19年7月13日民集第61巻5号1980頁も17条書面の不備を指摘して、悪意の受益者と推定しています。