みなし弁済判例

貸金業法(平成18年法律第115号による改正前の法律の題名は貸金業の規制等に関する法律。)第43条1項のみなし弁済の各要件

「同法第17条に定める事項を記載した書面(契約書)を契約後遅滞なく借り主に交付していること」

「同法第18条に定める事項を記載した書面(受取証書)を,弁済(返済)を受けたとき,「その都度」「直ちに」借り主に交付すること」

「借り主が利息として任意に支払ったこと

17条書面(貸金業規制法17条)
金銭消費貸借契約締結に際して貸金業者が交付する書面
・貸金業者の商号、名称または氏名および住所 
・契約年月日 
・貸付金額 
・貸付の利率 
・返済方式 
・返済期間および返済回数 
・賠償額の予定(違約金も含む)に関する定めがあるときはその内容 
・他、大蔵省令で定める事項
全ての取引書類につき法定記載事項が正確かつ明確でなければならない。

●18条書面(貸金業規制法18条)
債務の弁済に際して貸金業者が交付する書面
・貸金業者の商号、名称または氏名および住所 
・契約年月日 
・貸付金額 
・受領金額およびその利息 
・賠償額の予定に基づく賠償金または元本への充当額受領年月日 
・その他大蔵省令で定める事項
全ての取引書類につき法定記載事項が正確かつ明確でなければならない。

→みなし弁済が認められると、利息制限法を超えるが出資法には違反しない利息(グレーゾーン金利)を取る事が認められます。
以下の判例からもわかるとおり、まず要件を満たす事は無理だという事がわかるでしょう。
決着がついた問題だったのですが(過払い金が発生しないという事はない)、「悪意の受益者の推定」の関係で過払い利息が取れるか取れないかの問題にかかわって来るので、以下の判例がまた重要になったと考えられます。

最一判平成11年1月21日民集第53巻1号98頁

貸金業の規制等に関する法律四三条一項によるみなし弁済の効果を生ずるためには、債務者の利息の支払が貸金業者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってされた場合であっても、特段の事情のない限り、貸金業者は右の払込みを受けたことを確認した都度、直ちに、同法一八条一項に規定する書面を債務者に交付しなければならない。

∵同法四三条一項二号は、受取証書の交付について何らの除外事由を設けておらず、また、債務者は、受取証書の交付を受けることによって、払い込んだ金銭の利息、元本等への充当関係を初めて具体的に把握することができるからである。

最二判平成16年2月20日民集第58巻2号475頁

1 貸金業者との間の金銭消費貸借上の約定に基づき利息の天引きがされた場合における天引利息については,貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用はない。
2 貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に該当するためには,当該書面に同項所定の事項のすべてが記載されていなければならない。
3 貸金業者が貸金の弁済を受けた日から20日余り経過した後に債務者に当該弁済についての書面を送付したとしても,貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用要件である同法18条1項所定の事項を記載した書面の弁済直後における交付がされたものとみることはできない。

最一判平成17年12月15日民集第59巻10号2899頁

1 貸金業法17条1項に規定する書面に同項所定の事項について確定的な記載をすることが不可能な場合に同書面に記載すべき事項
2 いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業法17条1項に規定する書面に「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」として記載すべき事項

仮に,当該貸付けに係る契約の性質上,法17条1項所定の事項のうち,確定的な記載が不可能な事項があったとしても,貸金業者は,その事項の記載義務を免れるものではなく,その場合には,当該事項に準じた事項を記載すべき義務があり,同義務を尽くせば,当該事項を記載したものと解すべきであって,17条書面として交付された書面に当該事項に準じた事項の記載がないときは,17条書面の交付があったとは認められず,法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。

個々の貸付けの時点での残元利金について,最低返済額及び経過利息を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等を17条書面に記載するこ とは可能であるから,これを確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずるものとして,17条書面として交付する書面に記載すべき義務があったというべきである

リボルビング方式

確定的な返済期間,返済金額等を17条書面に記載して交付することは不可能

17条書面に最低返済額及び経過利息を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,今後,追加借入れをしないで,最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に返済していった場合,いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,完済までの期間の長さ等によって,自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるものと解され,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準じた効果があるということができる。

目安として、返済日に最低返済額を返済し続けた場合に見込まれる返済期間と返済回数の記載は可能という事

最二判平成18年1月13日民集第60巻1号1頁
1 貸金業法施行規則15条2項の法適合性
2 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力
3 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下での制限超過部分の支払の任意性の有無

法 43条1項は,貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が利息として支払った金銭の額が,利息の制限額を超える場合において, 貸金業者が,貸金業に係る業務規制として定められた法17条1項及び18条1項所定の各要件を具備した各書面を交付する義務を遵守しているときには,その 支払が任意に行われた場合に限って,例外的に,利息制限法1条1項の規定にかかわらず,制限超過部分の支払を有効な利息の債務の弁済とみなす旨を定めてい る。貸金業者の業務の適正な運営を確保し,資金需要者等の利益の保護を図ること等を目的として貸金業に対する必要な規制等を定める法の趣旨,目的(法1 条)等にかんがみると,法43条1項の規定の適用要件については,これを厳格に解釈すべきである(最高裁平成14年(受)第912号同16年2月20日第 二小法廷判決・民集58巻2号380頁,最高裁平成15年(オ)第386号,同年(受)第390号同16年2月20日第二小法廷判決・民集58巻2号 475頁参照)。
そうすると,法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息の支払に充当されることを認識した上,自己 の自由な意思によってこれを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効 であることまで認識していることを要しないと解される(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参 照)けれども,債務者が,事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には,制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず,法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。

期限の利益喪失特約は,法律上は,上記のように一部無効であって,制限超過部分の支払を怠ったとしても期限の利益を喪失することはないけれども,この特 約の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括 して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払 うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである

したがって,本件期限の利益喪失特約の下で,債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないと解するのが相当である

遅れたら一括請求されるのが怖いので、いやいや払っている

任意の支払いではないでしょう。

期限の利益喪失約款がある契約では、みなし弁済は認められない。

契約に期限の利益喪失約款が入ってないということは、ほとんどないので、過払い金が発生しないということも、ほとんどないという事になる。