過払い利息の発生時期

「悪意の受益者の推定」の話とは別に、最近、各業者は過払金利息の5%の発生時期は取引の終了時であるとの主張をしてきます。
平成21年1月22日の最高裁判決の影響があるようです。

この判決の趣旨は、「取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるので、新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点までは、借主に取引を終了させることを求めることはできず、消滅時効は進行しない。」というものです。

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各業者はこの判決から「取引終了以前には過払金の返還請求権の行使が想定できない点では、消滅時効が問題となる場合と法定利息の発生時期が問題となる場合で同じである」等主張してきます。
下級審の判例でも業者の主張に沿うものが出て来ています。

山口地裁宇部支部平成21年2月25日判決

過払金返還請求権の消滅時効が継続的金銭消費貸借が終了した時点から進行すると解されるのは、過払金充当合意においては、新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払金を同債務に充当することとし、借主が過払金にかかる不当利得返還請求権を行使することが通常想定されていないから、一般的に過払金充当合意には借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点、すなわち基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借が終了した時点で過払金が存在していれば、その請求権を行使することとし、それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず、これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当であるとされるからである。そうすると、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借が終了するまでは過払金返還請求権も具体化しておらず、これに対する悪意の受益者としての利息の支払義務も発生していないというべきである。 → 最高裁H21.1.22は取引終了前から過払い金返還請求権という具体的権利は存在し、ただその行使が妨げられるとしているだけ、という反論が考えられます。

札幌高裁平成21年4月10日

民法704条の利息は悪意の受益者が受けた利益に付して返還すべきものであるから、利息の起算日となるのは、不当利得返還債務の弁済期からであると解される。過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借において、その取引の終了前は、悪意の受益者が受けた利益、すなわち過払金が発生してもその行使に法律上の障害があるから過払金の弁済期は取引終了の日の翌日であると解される。したがって上記取引の継続中は、たとえ過払金が発生しても、これに利息を付した上で、その後の借入金の元本に充当することはできない。

これらの判決を盾に業者側は、利息に関してはかなり抵抗して来ます。

業者側の主張に対しては、最高裁平成21年1月22日判決は、悪意の受益者が返還するべき利息についてなんら判断していない、過払い充当合意が過払い金返還請求権の行使を妨げるとしても過払金の存在を否定するものではない等反論すべきでしょう。

追記

平成21年9月4日に利息の発生時期について、最高裁の判決がありました。

要約

過払金充当合意を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合でも,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生する

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今後は、上記判例を引用すれば、反論になると考えられます。